YOGAがもたらす受容する力

クラスに来てくださっている方から、ヨガを始めてから「自分のことを大切に思えるようになった」「自分の身体にずっとコンプレックスを持っていたが自分の身体を好きになった」などの声を聞くことが度々あります。


もちろん、私がそのようなことを思いましょうとみなさんに言っているわけではなく、ヨガの練習をする中でそれぞれの人が自然と感じ取られている感想です。


マタニティヨガに通われていたある妊婦さんは、ご出産後の感想で「私の妊娠から出産は、不妊治療、高齢出産、妊娠高血圧症候群の疑い、緊急帝王切開と文字だけ並べるとネガティブなように聞こえるかもしれませんが、全部ヨガのおかげで前向きに乗り越えてこれました!!全ては心の持ちようですね」と述べられていました。


私自身、ヨガに出会う前は劣等感やネガティブな思考に苛まれ苦しく過ごしていた時期もありました。

それは自分自身を大切に扱うことや、自分の個性を受け入れることがうまくできず、他人の目を不必要に気にする傾向があったからかもしれません。

ヨガの実践を重ね、哲学を学んでいくうちに、「今の状態」「あるがまま」を受容することが自然とできるようになったような気がします。


ヨガのクラスでは、アーサナ(ポーズをとること)で身体を感じ観察します。そしてプラーナーヤーマ(呼吸法)で呼吸に意識を向け観察します。瞑想ではさらに自己を客観的に理解する姿勢を養うことができます。

この「身体や呼吸、自分自身を客観的に見る」ということがとても大切です。


身体の感覚を感じ取ることで、内受容感覚(身体の内側の深い部分:内臓、筋肉、関節などを感じ取る感覚)が研ぎ澄まされていきます。

内受容感覚が向上すると肉体と情動(心の動き)の関係は統合されていき、ホメオスタシス(恒常性:外界の環境変化に身体の内部環境を整えようとするはたらき)が正しく保たれます。


また、心身がリラックスした状態になると、本質的な自分のあり方にくつろげるようになり、自分の大切さ、周囲の人の優しさもより感じられるようになります。


こういったヨガのプロセスによる変化が「自分自身を受容する、物事を受容する」ことにつながっていくのかもしれません。


【参考文献】Sandra Blakeslee, Matthew Blakeslee著、 脳の中の身体地図(The body has a mind of Its own) インターシフト 2009年

Swami Kuvalayananda and Dr.S.L.Vinekar 著、ヨーガセラピー(YOGIC THERAPY)春秋社 2019年